2007年07月04日

歌舞伎 と 能楽  伝統芸能 比較 考

前回、歌舞伎 を 観たのは、確か 6,7年前 になります。
それも、東銀座 の 歌舞伎座 3階席 あたり でしたので、
ただ単に 雰囲気 を 楽しんだ だけです。

今回 は、あるホール で 行われる 年1回 の 貸し切り公演。
お席 も 1階 の 中ほど 中央通路寄り という とても 観やすい お席 でしたので、
じっくり と 拝見すること が 出来ました。

そういえば、このホール で 前回 観たのは、
片岡孝太郎さん の 襲名披露公演 でしたが、
まだ 私自身、伝統芸能 に さほど 興味 の なかった 頃 の 話。
その時 は、きっと もったいない 観方 を したこと と 思います・・・。

一、 歌舞伎 の みかた
二、 近松門左衛門作 平家女護島 『 俊寛 』
三、 お祭り 清元連中

出演、 石川右近 石川笑也 市川春猿 市川笑三郎 市川段治郎 市川猿弥 市川門之助 ほか


市川笑三郎さん と 市川春猿さん の お二人 が
面白おかしく 解説 を してくださる
「 歌舞伎 の みかた 」 に よって、
音楽、効果音 に ついて 学ぶこと が 出来ました。

◆ 歌舞伎 では、舞台上手 に 一段 高い 舞台 を 設置 して
義太夫 の 太夫 と 三味線 による 演奏 が 行われます。

◆ 舞台下手 で、太鼓演奏 を します。

◆ 舞台上手 で、「 付け打ち 」 という 効果音 を 出します。
見せ場 や クライマックス で、上手端っこ に 置いた 板 ( 付板 ) を 拍子木 で 打ち鳴らすのです。

◆ 芝居 の 合間 に 客席から 「 大向う ( おおむこう ) 」 という 掛け声 を かけます。
大向う が ない と 芝居 が 進行 できない、とまで 言われる ぐらい 大切 なもので、
屋号 に 加え、「 日本一! 」 「 待ってました! 」 「 ご両人! 」
など の 言葉 を
「大きな 声 で はっきりと 」 叫ぶ のです。

今回 は、市川猿之助 ( いちかわ えんのすけ ) 家 の 公演 でしたので、
「 澤瀉屋 ( おもだかや ) ー 」 、 と 叫ばなければ なりません!

◆ そして、客席 からの 拍手
幕開き に 始まって、登場、見せ場、見得、立ち回り など、
ことあるごと に 拍手 で もりたてます。

こうしてみると、能楽 との 違い は 歴然 です。
」 の 能楽 に 対して、
歌舞伎 は 「 ( にぎやか ) 」 です。

また 能 が 「 最小 の 動き 」 で あるのに 対して、
歌舞伎 の 「 派手 」 「 大振り 」 な こと!

さらには、色 の 使い方 も 「 シック 」、「 侘び 」色、「 さび 」色 を 旨 と するのが 能 なら、
歌舞伎 は 「 ど派手 」 「 鮮やか 」 と でも 言いましょうか。

とにかく、全体 が、元気 いっぱい なのですね。


『 俊寛 』 と いう お話 は―、

平清盛 に 反抗 し、謀反 を 企てた 俊寛 が、
仲間 と 共 に 都 から遠く 離れた 鬼界ケ島 に 流されます。
後日、他 の 仲間 は 許されて 都 に 戻ること に なりますが、
俊寛 のみ が 許されず に 島 に 残される こと に。
その後、情 に 厚い 重盛 の 使い が やってきて、
俊寛 も 帰る こと を 許されます。
しかし、俊寛 は、離れ離れ に なってしまいそうな 若い 恋人たち の ために、
自ら は 島 に 残る 決心 を する、 と いう お話 です。
( 途中、ずいぶん な 省略形! で 失礼 )


能 にも 同じく 『 俊寛 』 が あります。

「 平家物語 の 中 でも、究極 の 悲劇 」 として の 位置づけ も 一緒です。

しかし、

● 俊寛 が 都 に 戻れないこと を 知って 嘆く 場面、
● 俊寛 が 都 から 来た 使者 と やり合って 切って しまう 場面、
● 極めつけ は、船 が 出港 した あと、一人 残された 俊寛 が 狂ったように 嘆き 悲しみ、岩 の 上 から 船 の 影 を ひたすら 見つめ続ける 場面、

歌舞伎 での 演技 は、とにかく 派手、大げさ な ジ ェスチャー です。

「 観客 に 観せる 」
「 観客 を 魅せる 」 を、
大変 分かりやすいように くふう しているのが よく わかります。

能 だったら、
「 己 の 心 の 中 で 情景 を 捉える 」
「 己 の 心 の 中 に 想像 を めぐらす 」 ような 演出 ですから、

「 静 」 「 シンプル 」 な 演技 の 中 に こめられた 俊寛 の 嘆き 悲しみ を、
観る 人 それぞれ が 心 の 中 で 反芻 しなければ なりません。


■ 能 は、心 の 内面 の 動き を 知るために、一挙手一投足 見逃さず に 追わなければ なりません。

■ 歌舞伎 は、事柄 の表象 を はっきり と しっかり と ( 大げさに ) 表す こと に よって、感情 の 動き まで 容易 に 把握 すること が 出来ます。

同じ 伝統芸能 でも、その コンセプト も 方法論 も 全然 違う のですね。

どちら が いい、と いう 問題 では ありませんが、
それでも やはり 感じるのは、

★ 能 = 不言実行型 の 武士
★ 歌舞伎 = 感情 豊かな 庶民

と いうような 比較 相違 の 構造 でしょうか。


最後 は 『 お祭り 』 。

江戸風俗 を 描いた 『 お祭り 』 は、軽快 で 粋 な 舞踊 です。
女形 の 芸者 と 活き の いい 鳶頭 ( とびがしら ) たち の 踊り は、
いなせ で あでやか !!

TV 「 さんま御殿 」 など で、
オカマチック な 雰囲気 を 振りまいている 市川春猿さん の 芸者姿 は
さすがー! でした。

ついさっき、悲劇 の 真っ只中 に 居た 人 が、
今度 は ガラっ と 変わって 軽快 な 踊り を 観せて くれました!


それにしても、お能 は、何回 観ても、わからない こと だらけ。
歌舞伎 は、一度 観れば、楽しめる。

さあー、この先、どのように 日本 の 伝統芸能 に 接していきましょうか???

posted by ふじりんご at 14:57| Comment(16) | TrackBack(0) | 日本の美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ごぶさたです。お元気そうでなによりです。^^
Posted by くるみりす at 2007年07月04日 16:13
〜くるみりすさんへ〜

くるみりすさん、コメントありがとうございます!
PC不調で入院中ですのに、わざわざネットカフェからお越しくださいましてありがとうございました。
くるみりすさん宅のおもしろネタ、早く知りたいですよ〜!!

梅雨も後半、じめじめ気分を吹き飛ばしてお元気でお過ごしくださいね〜。

Posted by ふじりんご at 2007年07月05日 00:00
こんばんは、ふじりんごさん。

ふじりんごさんは。。評論家を目指したらいいかもしれませんね(笑)。
とっても専門的で、みごとな表現をされるから。

市川猿之助氏は娘の大学の副学長で、学生に歌舞伎を指導されています。
何年かまえにTVでもとりあげられたことがあります。
大学の中に歌舞伎の出来る本格的な劇場があり、入学式のあとそこを
見学させられました。

私は一回も本物をみたことはありませんが、そのうちお目にかかる
こともあるだろうと、ふじりんごさんのお話を楽しく拝見させて
いただいてます。
Posted by ここのは at 2007年07月05日 00:02
ふじりんごさん、久しぶりにお邪魔させていただきます。やっと、ブログ解禁です^^

なかなか、ためになるお話ですわ。
私はお能から入り、歌舞伎はあとからなのですが、
両方観る者としては、やっぱり違いは考えたことがあります。
お能は心で感じるもの。歌舞伎は観て楽しみもの。
と、私は分けています。
歌舞伎の題材は、お能から来ているものがかなりありますよね。
おっしゃるとおり、庶民が楽しめるよう工夫されていったと思います。

最近ではお能と歌舞伎のコラボレーションもあるようです。能楽師のかたやお囃子のかたが、他のジャンルでコラボ始めてます。いろんな意味で、それぞれの可能性を未来に向って進んでいると思います。日本文化の伝統を大切にしながら、また新しいものを発見していく、その時代にいるということがうれしくなるときがあります。

お能貧乏、歌舞伎貧乏、立替貧乏まっしぐらです^^;






Posted by つきのこ at 2007年07月05日 09:49
〜ここのはさんへ〜

ここのはさん、こんにちは!
市川猿之助氏が副学長で、千住博氏が学長だなんて!
すごく恵まれた大学ですねぇ。
日本文化を大切にしようという大学の熱意が伝わってまいりますね。

お能と歌舞伎だったら、歌舞伎の方が一般受けしやすそうですから、学生さんも入りやすいかもしれませんね。

江戸歌舞伎が荒々しい勇壮な芸を作り出したのに対し、和事とよばれる柔らか味のある上方歌舞伎は、京都ならではという気もいたしますし。

大学内の劇場で、お嬢さまとご一緒にぜひご覧下さいませ。



Posted by ふじりんご at 2007年07月05日 11:19
〜つきのこさんへ〜

つきのこさん、お久し振りでございます!
お忙しい中、ようこそお越しくださいました。

>お能は心で感じるもの。歌舞伎は観て楽しみもの。<

歌舞伎は観るだけで楽しめますから、反対に毎月観ようと思うかどうかは疑問だと感じました。
お能は何回観てもよくわからないので、何回でも観てみようと思うのですね。

玉三郎氏と清和氏のコラボレーションも話題になりましたね。
コクーン歌舞伎などもその方向でしょうか?

それぞれの可能性を探るエネルギーは大変なものだと思いますが、その恩恵にあずかれるなんて、嬉しい限りでございます!

これからもいろいろとご教授くださいませ。

コンサート貧乏―。
娘にかかりますので、少々控え気味の数年間になりそうですわ。


Posted by ふじりんご at 2007年07月05日 11:33
こんにちは
歌舞伎座に最後に行ったのは何時だったかしら。
すっかり敷居が高くなって、行き方も分かりません(>_<)

ふじりんごさんの解説はとても分かりやすいです。
歌舞伎に縁のない私でも何だか、分かった気がします(少しだけ)

「観せる」と「魅せる」
漢字っていいですね。
Posted by at 2007年07月05日 15:24
〜○○さんへ〜

コメントありがとうございます!
(おそらく○○さんだと思いますが・・・)

ほんと、日本人なのに、お能、歌舞伎、茶道、着物など、その気にならないと近づく手立てはあまりないようで・・・。
人生後半に入って、ようやく日本文化の良さに目が向くようになりました。
すべてが繋がっているのですね。
漢字もしかり。
あとは俳句、和歌・・・、と続くのかなあー。
まだまだ入り口でございます。(笑)

Posted by ふじりんご at 2007年07月05日 21:08
こんばんは ○○です。
お恥ずかしい<(_ _)>
穴があったら入りたいです。
Posted by ベンジャミン at 2007年07月05日 21:35
〜ベンジャミンさんへ〜

ベンジャミンさん、こんばんは!
○○さん=ベンジャミンさん、だとすぐにわかりましたよ〜〜ん!
・・・と言えるぐらい、けっこう親しいブログのお付き合いをさせていただいている、ということで!!
嬉しい限りでございます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。(笑)

Posted by ふじりんご at 2007年07月05日 22:27
おはようございます。
私は先週、歌舞伎座で「藤間流大会」という日本舞踊を観てきました。
前から2列目でした^^
(お付き合いで買ったので、気を使って前にしてくださったようです^^)
歌舞伎座の雰囲気はいいですね。
初めてだったので、2階ロビーの絵などもじっくり鑑賞してきました。

ところで、「50の手習い」のHP、いいですね。
時々、情報が更新されているので、楽しみです。
しかも、興味ある情報が多いです。
私は、定期的に「50の手習い」から情報収集するのが日課になりました。
頑張ってくださいね(^^)
Posted by piomio at 2007年07月06日 07:59
〜piomioさんへ〜

いつもコメントありがとうございます!
piomioさんも先週歌舞伎座でしたか!!
前から二列目だなんて!
それでは存分にお楽しみになれたことでしょうね。
お能と歌舞伎、まだまだ分かるようで分からない世界が続きますわ・・・。

HP見てくださっているのですかー!
まあー、ありがとうございます。
嬉しい限りでございます。

でも、自分でもまだどういう方向へ持っていこうとしているのか、よくわかっていないのです。
だから、とりあえずは自分の興味のある事柄をそのつどピックアップしております。
でもpiomioさんのように定期的にご覧下さる方がいらっしゃるのでしたら、それはかなりいいヒントになるような・・・。
ヒントをもらったような・・・。
わ〜〜い、ありがとうございます!!

Posted by ふじりんご at 2007年07月06日 10:13
へぇ〜!歌舞伎って客席の役割もあるんですね♪
初めて知りました。
能や歌舞伎にはまだ縁がないので、
こんな世界なのか…と読むのが楽しみです。
Posted by lunaはちこ at 2007年07月06日 18:59
〜lunaはち子さんへ〜

はち子さん、コメントありがとうございます!
そうなんですよ。
歌舞伎って客席の役割がちゃあんとあって、大向うの専門家(セミプロ)もいるそうですよ。
驚きですよね!

はち子さんと馴染みの深い厳島神社では、著名な能や狂言がたくさん上演されていますから、一度ぜひご覧下さいな。
ブログお仲間のお能通の方々もお出かけになるそうですし・・・。
わたしもいつか行ってみたい所の一つですよ〜。

Posted by ふじりんご at 2007年07月06日 21:59
ただいま〜  ・・・我が家のPCより
Posted by くるみりす at 2007年07月08日 00:36
〜くるみりすさんへ〜

くるみりすさん、おはようございます!
わ〜〜い、パソコンなおったのですね。
よかったですねー。
新車の話題、待っていま〜〜す!


Posted by ふじりんご at 2007年07月08日 10:05
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